2日目:開講式

2日目:開講式(8月9日開催)

主催者挨拶

渡邉 誠次 塾長(公益財団法人阿蘇地域振興デザインセンター理事長・小国町長)

はじめに、7月28日 熊本地震で被害にあわれた皆様、亡くなられた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。

本日は開講式に出席していただき、誠にありがとうございます。 来賓の皆様には日頃よりサポートをしていただき、深く感謝しております。 主催者としては、熊本大学副学長/共創学環長金岡先生にけん引していただき感謝しております。

塾生の皆様入塾おめでとうございます。 あそ未来創造塾は、プロの立場で皆さんをサポートしていただく伴走支援が整っております。塾生の皆様には、これをチャンスと捉え新たな一歩を踏み出してほしいと思います。

あそ未来創造塾は、阿蘇地域に暮らしながら起業して、地域づくりを実践する人材を育てる目的で2021年に始まりました。地域課題を解決することを目指して学び合い、これまでの修了生によって地域資源を活用したコンテンツが次々と生み出されています。この流れはまだはじまりに過ぎないと感じており、地域を変えていく力は、皆さんが加わりさらに拡大していくと思っております。

また、感じたことのない文化や異質なものに触れる、異なる視点に触れる、そうすることで新しい価値を見つけていくことができると考えております。さらに、価値を生み出すためには、さまざまな新しいことやものに接する場所を作る必要があると感じております。

あそ未来創造塾は、まさにそういったことができる場所であります。 あそ未来創造塾を糧に、半年間有意義な時間を過ごしていただき、新たな魅力を創造していってほしいと思います。

金岡 省吾 教授(熊本大学 副学長/共創学環長)

7月28日の地震で被害にあわれた方におかれましては、お見舞い申し上げます。

未来創造塾は、2008年に富山で始まりました。次いで2016年に和歌山県田辺市、2020年に熊本に来ました。現在は全国12の地域に未来創造塾があり540名の塾生の仲間がおります。

あそ未来創造塾は2021年の開講以来今年で6期目になります。これまで62名の修了生を輩出しており、今年は14名の塾生に入っていただき大変嬉しく思っております。

単に回を重ねるのではなく、次に何をするのだろうか?ということを考えていく時期であり、時代と共に、塾も新しい役割が求められていると思います。 各地にある塾に共通していることが「自分たちの地域のなかで自分たちで考えて、新しい特徴を出していこう」という共創という形を創っていくことがあげられます。 例えば阿蘇は、「草原と環境の保全」など、塾生OBの人たちと一つになって何かを繋いだり、各省庁の方に協力いただいて、地域全体で新しい特徴を考えていくということであります。

熊本大学は今年度、共創学環を作りました。そのなかで、阿蘇の皆さんと何かできないか、と考えております。皆さんも熊本大学と連携して動いていってほしいなど、新しいステップを作っていきたいと考えております。

皆さんの課題、地域で何が動いているのか、ということを未来創造塾は考える場所です。ここでの出会いを大切にしていただきながら、ぜひ頑張って自らの新しいプロジェクトの案を考えて動いてほしいと思います。

皆様方のこれからの動きを期待して冒頭の挨拶とさせていただきます。 それでは皆様、半年間よろしくお願いします。

来賓挨拶

熊本県信用保証協会 会長 田嶋 徹 様

この度の、熊本地震で被災された多くの方々に心よりお見舞い申し上げます。

実は私、震源地の氷川町に住んでおります。水が行き届かない、道路損壊、渋滞など復興への道のりは長く感じております。皆様の息の長い応援をお願いします。

さて、あそ未来創造塾の令和8年度開講式おめでとうございます。 あそ未来創造塾は、熊本大学金岡副学長のリーダーシップで始まった取り組みで、人口減少、少子高齢化が進む地域の課題をビジネスの手法として解決していこうという趣旨であり、その人材育成を目的としております。

先ほどの渡邉理事長がおっしゃっていた、異質なものと出会い、新しい価値を創造する取り組みに対し、地元企業、商工団体、金融機関が連携して応援しております。

信用保証協会としても今後も皆さんの挑戦をしっかり支え応援させていただくことをお誓い申し上げ挨拶とさせていただきます。

日本政策金融公庫熊本支店 国民生活事業 国民生活事業統轄 川口 英明 様
代理 融資第三課長 木村 和生 様

あそ未来創造塾開講式が、このように盛大に開催されることを心よりお慶び申し上げます。

はじめに、この度の地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。阿蘇では、直接的な被害は少ないかもしれませんが、物流の途絶や旅行者の減少等、間接的な被害が多く出ていると存じております。

このような中で、阿蘇で生業を興そうとする皆様を対象とした本塾が開講されることは、地域の未来に希望をつなぐまことに意義深い取り組みであると感じております。

阿蘇は、雄大な自然、豊かな農林畜産資源、さらには全国に誇る観光資源など、多くの魅力と可能性に恵まれております。これらの地域資源を活かした新たな事業への挑戦は、地域課題の解決と雇用創出につながり、阿蘇の活力をさらに高めるものと確信しております。

本塾で学ばれる皆様が、ここで知識を深め、志を同じくする仲間と出会い、それぞれの構想を着実に事業へつなげていかれることを期待しております。

株式会社肥後銀行 阿蘇ブロック長兼宮地支店長 横山 輝 様

この度の地震で、阿蘇地域は、私の知る限り幸いにも物的損害はそんなに大きくなく、人的被害もさほど私のところまで聞こえてきておりませんが、観光業に関する二次的被害が大きく、宿泊施設などのキャンセルが相次いでいる状況です。

今後阿蘇の経済をどうやって維持していくのか、どうやって創造的復興に向かわせるのかということについて、既存の事業だけではなく、皆様がこれからやろうとしている地域課題を解決する、それをビジネスにするということが大きな意味を持ってくると思います。

この塾を通して、塾生の先輩及び横の連携、いろんな人とつながることができます。私も来賓としてご紹介いただきましたが、伴走者であります。皆さんと一緒にその事業をどうやっていくのか、この地域の課題をどう解決していくのかということについて半年かけて一緒に考え、修了後も一緒にその事業を創出するために応援していきたいと思いますので、ぜひ頑張ってください。

オリエンテーション:あそ未来創造塾<第6期> 〜これから目指すもの〜

熊本大学 副学長/共創学環長 金岡 省吾 教授

以前は、企業を誘致して地域を活性化するという動きがあり、大きな企業は動いてくれました。しかし、人口減少という課題が顕在化するなか、地元企業の動きがより大切になり2000年ぐらいから「地域の課題を解決する」地元企業が増えてきて、企業と地域の関係が変わり始めました。

地域の人たちが地域の中に入り込んで課題を解決していく、ローカルイノベーターになる人たちと一緒に地域を活性化しようと、2000年以降から20年以上活動しています。

地域をどう元気にするかという考え方のひとつは、半導体のような国を牽引していく産業を作ること、もうひとつは、先ほど話がでていた、「地域の課題と自分の企業との接点を見い出し活性化していく」ことにあります。

このような背景のなか、富山の大学から始まった未来創造塾が、現在、全国に広がり未来創造塾の修了生の合計は541名になります。あそ未来創造塾も、こういったうねりのなかにあるのです。

あそ未来創造塾は今年6年目となり、現在まで62名の修了生がいますが、今後は次のステージを生み出す時期にきていると思います。これからどんな変化が起こっていくのか見ていきたいと思います。

そして、今日入塾された皆さんには、まずは半年間で自分のビジネスプランを練り上げ、小さくてもよいので動き始めることが大事です。

これまでのあそ未来創造塾の修了生の活動で、地域で化学反応を起こしていった例を少し挙げてみようと思います。

<高校生>

高校生に向けて、あそ未来創造塾の修了生が、地域課題を解決しつつビジネスを展開しているという話をしてもらいました。すると、高校生の目が輝き、なかには「面白いです」という生徒が現れてきました。

「阿蘇にはこんな課題がある。この課題を解決するために、私は阿蘇から最初ちょっと離れるけど戻ってくる」か、あるいは「外から解決しよう」という高校生が増え始めています。

実際に、小国高校から熊本大学文学部に入って小国高校の総合的な探究を手伝いたいという学生や、鶴屋百貨店で小国のために何かやりたいという志望動機を持って就職した人もいます。

また「面白そうだけど自分はプレーヤーにはなれない。なので、市役所や銀行に入って地域の課題を解決したい。」という人も出てきました。

今、企業は地域のために貢献したいという人を採用しはじめています。

阿蘇地域では、小国高校以外にも高森高校、阿蘇中央高校でも同様の取り組みが始まってきていて、高校と地域をつなぐ人材づくりが重要となってきていると言えます。あそ未来創造塾修了生に、自治体が加わり、進学先の大学、様々な組織が関わってきて、地域が変わろうとしています。

運営側の事務局の皆さんや地域のステークホルダーの皆さんは、入塾していただいた塾生と共に成長するというようなステージでもあります。是非、伴走の方法もレベルアップしていただきたいと思います。

<大学生>

地方創生に興味を持つ学生が多くいることも確かで、地方創生に携わることができる就職先が選ばれていることは事実です。 今の若い人たちは、地域課題の解決や地方創生のことをたくさん学んでいます。

この動きは、日本だけではなく、台湾などアジア諸国でも興味を持っている学生が多く、地方創生に関わる皆さんの未来はこれからも盛んになると思います。

いくつか紹介いたしましたが、塾生の皆さんは、これからは、まず小さくてもよいので地域の課題を見つけ出し、小さな拠点で小さな動きを作っていってもらえればと思っています。

オリエンテーション

(公財)阿蘇地域振興デザインセンター 事務局員 園田 彩乃

私からは、阿蘇地域の現状と未来創造塾が目指すものについてお話をさせていただきます。

阿蘇地域の人口は全体的に減少傾向で、2020年から2045年までの25年間で約3割の総人口が減る予測です。

中学・高校を卒業し進学などで阿蘇地域を離れた後、就職や子育てのタイミングで人が戻っていますが、いったん離れてしまった人数の約半分しか戻っておらず、若い年齢の方ほど阿蘇に戻ってくる人が少ないことが現状です。

阿蘇地域振興デザインセンターでは、「ずっと住み続けられる阿蘇づくり」を長期ビジョンに掲げ、「少しでも人口減少を和らげたい」また、地域の方や次世代の子供たちにとって、「阿蘇で生きるということに希望を持ってほしい」と思っております。

あそ未来創造塾は、この長期ビジョンに沿った事業で、熊本大学や金融機関の皆様のご協力のもと、地域に根差した新たなビジネスモデルを創出し、阿蘇で活躍するかっこいい大人のサポートとなるよう開設しております。

未来創造塾では、人口減少から発生する地域課題について学びを深め、自ら考え、どう地域課題を解決できるかに挑戦していきます。全8回の講義によるインプットおよびグループディスカッションを繰り返しながら、ビジネスモデルのブラッシュアップを図り、来年2027年3月6日に修了式にて最終プレゼンとして皆さんのビジネスプランを発表していただきます。

発表にとどまらず、ビジネスプランを実行に移し、地域課題を解決し、さらにそこから新たな課題、新たな仕事、新たな価値の連鎖へ共創を広げてまいりましょう。大きなプロジェクトよりもスモールビジネスを数多く創出していってほしいと思います。

塾生の皆さん一人一人がそれぞれ違った可能性を秘めています。 ご自身の夢に向けて一歩を踏み出し、阿蘇を生きるかっこいい大人を実現してください。

塾生自己紹介

澤 弘泰 さん
源 花央里 さん
成嶋 圭子 さん
荒木 真帆 さん
三笘 舞 さん
加藤 祐輔 さん
町田 裕輔 さん
甲斐 佳子 さん
大崎 智子 さん
佐藤 謙太 さん
森口 大輔 さん

修了生活動紹介

合同会社MOYAI 青木 千愛 さん(4期生)

南小国町を出て、旅行会社で働き、2020年に南小国町に戻り、旅行会社を始め現在、7年目を迎えております。あそ未来創造塾は4期生として学びました。

私が気づいた地域課題は「阿蘇駅前、中岳の山頂だけに観光客が集中」していたということでした。

阿蘇駅前は多くの観光客の方が来られますが、メジャー観光スポットの阿蘇中岳の山頂以外の観光地に足を延ばせない状況にありました。このままでは阿蘇の魅力を十分に伝えられないと思い、自身の旅行会社がこの課題を解決できるのではないかと取り組んでおります。

まず、2026年1月に、阿蘇駅前にMOYAI Tourist hubをオープンし、阿蘇地域の色んな場所に行ってもらえるように地域の方と繋がって、ツアーの販売を始めました。交通手段・アクティビティとしてのレンタル自転車、観光ガイド、休憩所としても利用してもらっています。

阿蘇に来られる観光客の皆様には、ぜひ阿蘇を満喫していってほしいです。

また、阿蘇地域で守りたいものは草原です。そこから培われてきた農や食の文化を観光商材として多くの人に提供していきたいと考えております。

入塾した時には、何も浮かばなかったアイデアが、あそ未来創造塾で回を重ねるうちにだんだんと課題や解決方法が見えてきました。

ぜひ、阿蘇の未来を一緒に創造していきましょう。

(有)あらい 荒井 智子 さん(5期生)

私は、南小国町の小田温泉にある有限会社あらいの若女将で、旅館山しのぶと、草太郎庵、およびお食事処を経営しております。 他にも、物販や、英語教育事業を行っております。

あそ未来創造塾へは、自分の強みの英語と旅館(宿泊業)をどのように掛け合わせていけばよいか考えたくて塾に入りました。はじめ全くアイデアがありませんでしたが、いろんな情報をいただくなかでアイデアが浮かんできました。

塾で話を聞いていくうちに「宿泊業界は人材不足のうえに英語が話せる人材がほとんどいないという深刻な問題があるなか、外国人観光客は増加している」。また、「英語を使って仕事をしなければならないのに、地域に大人が英語を学ぶ場所が無い」という課題が見えてきました。

このような課題から、私は「南小国町を日本一英語が通じる町にしたい。」と思い、課題解決のプランを発表させていただきました。

英語の基本である、中学英文法を学び直す寺子屋を作るというプラン。 日本に英語コミュニティーを広げていき、南小国で英語を学びながら旅館でも働ける、ということをアピールして、宿泊業の人材を確保していくというプランです。

その後、いくつか実践しはじめたことがあります。

・地元の人への英語の個別レッスンの開始
・子供に英語寺子屋の、先生探し
・同業種の英語レッスンの法人契約の営業

こうして色々行動していろんな人に会っていくうちに、新たな要望も生まれてきています。 その一つが、SNSの「Instagramの勉強会をしてほしい」という声がたくさんかかるようになっています。

先日発生した熊本地震で、2日間で100組のキャンセルが旅館にありました。損害としてはこれまで1000万円ほどの状況になりましたが、こんな状況をInstagramで発信したところ、60万人の方々から支持をいただき、コメントしてくださった方のほとんどが、物販の商品を購入してくださるなどご支援いただきました。さらに芸能人の方も発信してくださり、10%は被災地へ寄付させていただいておりますが、従業員さんのお給料も払えるようになりました。

SNSは最強のツールです。ここにいらっしゃる塾生の皆様は、これから事業をしていく際に、熊本だけではなく、全国・世界中にお客様を作っていただきたいと思っています。

株式会社ASO PLAY GROUND 早野 慎哉 さん(5期生)

テーマは「1000年後の子供たちへ、旅行業が今できること。」阿蘇の草原を次世代に繋ぐ持続可能な観光を目的とした事業を行っています。 具体的には、宿の経営とアクティビティと歴史を掛け合わせたツアーを行っています。

実際にツアーでお客さんを自然の中に連れて行っていますが、行けば行くほど山が荒れていくという矛盾を感じていました。 また、地域の課題として草原面積も100年前に比べて半分に減少し、生物多様性の低下が言われています。 さらに、草原が維持できなくなり、企業に土地を売却した結果、メガソーラーの設置場所となっていることも現実です。

そこで、草原を次世代に繋いでいきたいという観点から、「保全(負担)を価値(商品)に変える解決策をやっていきたい。」と思うようになりました。

プランとしては、 一つは「光と影を知る」サステナブルツアーを実施して、美しい草原景観や阿蘇山をまず楽しんでもらったあと、ソーラーパネルの設置されている場所をお客さんに見てもらい実際に体験と体感してもらうことです。 この先草原がどうなっていくべきなのかを考える機会の提供を行い、新たな気づきを得ていただきたいと考えています。

二つ目は、ススキ染めのTシャツを作って販売することで、草原の保全を行う仲間を1000人集めるということです。 草原の維持として大事なススキ刈りを行っていただき、そのススキを使ってTシャツを染めていきます。完成したTシャツは「草原の守り人」の証として提供することで、阿蘇の草原維持について意識を高めていただきたいと思います。

今後の展開として

・ジレンマ・トレッキングモニターを9月に実施予定
・草原のススキ染Tシャツの量産体制の検討

ジレンマ・トレッキングモニターツアーは、阿蘇の草原からソーラーパネルの見える丘を案内するものです。ソーラーパネル自体はエコであり、ソーラーパネルを否定する訳ではありません。しかし、結果として阿蘇の草原にソーラーパネルが設置されているという現状を知ってもらいたいのです。エコという言葉に起こっているミスマッチが阿蘇に存在しているということを感じてもらいたいという思いでツアーを企画しております。

あそ未来創造塾に入塾して、さまざまな情報を得ることがなければ、このようなツアーを企画することはなかったと思います。

入塾された皆様も、これから色んなことを考えて、対話のなかでどんどん発信していただき、仲間から意見をもらい、自らのプランをブラッシュアップしていってもらえたらなと思います。

トークセッション「あそ未来創造塾 エコシステムのつくり方」

パネリスト
あそ未来創造塾 4期生 青木 千愛 さん
あそ未来創造塾 5期生 荒井 智子さん
あそ未来創造塾 5期生 早野 慎哉 さん
渡邉 誠次 塾長(公益財団法人阿蘇地域振興デザインセンター理事長・小国町長)
金岡 省吾 教授(熊本大学 副学長/共創学環長)

コーディネーター: 尾山 真 准教授(熊本大学 研究開発戦略本部)

前半テーマ 「あそ未来創造塾の価値×原点と変化」

尾山: あそ未来創造塾がスタートしてからの5年間で変化していること、新たに生まれた価値など理事長が感じられていることは何でしょうか?

渡邉塾長: 塾生の皆さんが築き上げたネットワークが素晴らしいです。塾の修了生がやっていることに対して、地域の人が興味を持ち、さらに人が集まってきます。

今後ますますネットワークを広げて地域全体に広げていってほしいです。

地域課題に向き合い、価値に変えていく展開を考えながら、また、塾生個人としても、阿蘇で有意義な人生を過ごしてほしいと思います。

尾山: 金岡先生は2008年頃から地域の人材育成を行っていますが、阿蘇の特徴や価値をどのようにお考えでしょうか?

金岡教授: 人材育成というのはおこがましいですが、みんなが考える以上に地域は動かないということが経験上わかりました。なので、みんなが動く仕組みに作り替えるという作業をしてきました。そして、阿蘇地域はポテンシャルがすごいと感じています。

先ほど渡邉理事長が言っていたように、たくさんの塾生が修了して、その人たちの提案に乗っかる次のステージがやってきたと思います。

都会の人にはわからないような、地域の課題を解決して、儲からないかもしれないと思われるようなことの中できちんと儲けていくということが面白いことだと感じています。すごい時代になったと思っています。

尾山: 修了生の3名の方で、塾が終わってから、こんな面白いことがあった、などあれば教えてください。

青木: 私の経験では、塾生だった皆さんが、講義を受けはじめた半年後には学生同士の仲間のようになりました。塾を修了した後、拠点を作る準備をしていたのですが、その間も塾生の皆さんに励ましていただきました。

阿蘇駅前に拠点をオープンしてからも、たくさんの塾生の方が遊びに来ていただき、それだけでも励みになります。一人でやっていると心が折れることもありましたが、塾に入る前と後では大きく違いを感じております。

また、インプットとアウトプットを塾の中で繰り返していくうちに、プロジェクトの解像度が高まり、発表する頃には具現化へ前進しました。何かを実現することは勇気がいることですが、私は修了式で大風呂敷を広げたことで、実行することができました。半年間で人生を変えるような大きなことが起こるかもしれません。ぜひ頑張ってください。

荒井: 私も塾で学ばせていただいて、人との繋がりができたことが一番良かったと思います。色眼鏡をつけずに色んな人と繋がることが大事だなと思いました。そしてその人脈からどんな化学反応が生まれるかを実感しました。

また、自分の強みを自分では気づいていないことも、塾に入ってわかりました。 自分に求められていることを塾の仲間から教えてもらったりすることで、新たなチャンスが見つかると感じています。

早野: 入塾して、人との繋がりは私も同様に感じております。その上で、私は阿蘇らしさとはなんだろう、という点にすごく気づくきっかけとなりました。

地域をマクロの視点でみていくと、解決していくことができることが多いのではないかと思いました。 私はガイドを行っているのですが、発見した地域の課題を、自分一人で考えるのではなく、ガイドをしながらお客さんに地域課題を共有することで、解決するためのアイデアが出てくるのではないかと思っています。小さなことではありますが、何かしらの波紋を広げていけるのではないかと思っています。

自社の課題、地域の課題をもっと深く考え、どういう問題があって誰が困っていて、なんでそうなっているのか、などさらに深掘りした視点で見ていくことで、新しい発見が生まれてくると思います。

後半テーマ 「共創の実践×あそネクストステージ」

尾山: 次のテーマとして、塾に参加することで、みんなと一緒にどのように共創を実現していくのかということをお話しいただきたいと思います。 これから未来創造塾を通じて修了生だけでなく、阿蘇デザインセンターや大学とどんな関わり方ができるか、または、どう関わってほしいかなどお聞かせください。

青木: 修了生との関わりは、既にできていると思っています。市町村という行政区画に関わらず阿蘇地域で応援し合えるコミュニティを形成していくことが重要だと思います。 例えば、チラシ1枚作るにも、都会のデザイナーさんにお願いするところを、塾生内でできるようになるといいな、と思います。自分たちのお金を外に出さず、阿蘇の中でお金を回せるような意識を持てるようになるといいなと思います。 こうすることで、日々の業務の中でもエコシステムが形成されるのではないかと思います。

荒井: 今日入塾された方の自己紹介を聞いて、皆さんに光るものを感じました。皆さんの魅力を、日本中、世界中にSNSを通して伝えることでサポートをしていきたいと思います。

早野: エコシステムということでは、阿蘇には草原があることで貴重な動植物が生息しています。媒介者となる昆虫の役割が大きく、例えば花の蜜を蜂がとり、花粉をつけて飛んで別の花に受粉する、というエコシステムで動いています。 これは、人も同じで、誰かの行動を見て、自分のパーツを活かして回すなど、昆虫のエコシステムと似ていると思います。 あそ未来創造塾の中で語られるものは、夢物語ではなくビジネスにつながっています。だからこそ金融機関の方がサポートしてくださることで、阿蘇らしいエコシステムを作りながらビジネスを展開することができることがワクワクする要因だと思います。 塾を通して、これは自分にとって良い情報だと思えることがあったら、是非、食いついてもらうと今後面白いことになりそうだと思っています。

尾山: 渡邉塾長、いかがでしょうか?

渡邉塾長: 「価値を見つける力」「価値を見つける訓練」の話をしましたが、すでに異質なものにしっかり出会える人たちだなと思いました。 まちづくりに関しては役割分担があると思います。まちづくりのなかで自分は何ができるのか、なおかつ、自分の生業を行いながら、その延長上にある課題を解決する、という流れをつくることが大事ではないかと思います。 さらには、その地域の町会議員、町長などに助言できるようになってほしいと思っています。 また、運営側としては、デザインセンターにあそ未来創造塾の塾生・修了生が集まれる場所づくりを期待しております。

尾山: 金岡先生、最後に総括をお願いします。

金岡教授: 修了生三人の話は、これまでの積み重ねから自分の言葉で話ができるところがすごいと思います。 今後は、さらに話をする場所や機会を増やし、独自のストーリーを語り、自分の言葉に磨きをかけていってほしいと思います。 大手企業でも今、地域課題の解決に興味のある人材を採用したいと望んでいます。そのためにも、企業として地域課題の解決を実践しています。単に利益の追求だけでなく、地域課題の解決を行うことで、人材確保や企業価値の向上へ結びついています。みなさんも地域課題に向き合っています。人材不足のなか、従業員やアルバイトの採用面でも強みを自負できるようになると思います。 あそ未来創造塾は、次のステージとして、なにかしらの小さな拠点をつくり、そこに人が集まってくる、そしてなにかが起こるのではないかと期待しております。

信用保証協会 小林様
日本政策金融公庫 木村様

尾山: 関係機関の皆様のご感想やご提案などあれば一言お願いいたします。

信用保証協会 小林様: 保証協会としてどうやって関わっていけるか考えたときに、資金調達をされる際に保証させていただくことと、スムーズに金融機関からご融資を受けられることの2点で関われるかなと思っています。
さまざまな融資の制度も準備しておりますので、課題解決に向けた資金調達でお役に立てるように協力できたらと思っています。

日本政策金融公庫 木村様: 優秀で志が高い方ばかりで鳥肌がたっています。 私自身、転勤で熊本に住んで1年となりますが、友人や同僚に熊本・阿蘇は素晴らしい場所で優秀な人材もとても多いと話しています。
今後は、塾にて人脈作りやグループワークを通じて塾生同士で化学反応を起こして、自分のプランをブラッシュアップしていってほしいです。次回お会いするときには、一段とパワーアップした姿を見たいと思っています。

肥後銀行 横山様
株式会社グローカル・クラウドファンディング(スタハブくまもと) 西本様

肥後銀行 横山様: 私たちの九州フィナンシャルグループのテーマが「地域価値を共創するグループへの進化」であり、実は未来創造塾と同じであります。地域のために課題を解決しながら、価値を作っていく、ということは私たちのミッションでもあるので、しっかりサポートさせていただきたいと思います。塾生だけの繋がりだけでなく、各地域に広がる未来創造塾、そして世界にも広がることだと思っていますので、私たちもアンテナを張り皆さんに情報を届けられるよう、今後ともお付き合いさせていただきたいと思います。

株式会社グローカル・クラウドファンディング(スタハブくまもと) 西本様: 今日初めて参加させていただいたのですが、皆さんのお話を聞いてワクワクしています。私たちのスタハブくまもとは、これから熊本県内で新規開業されるお客様に、ワンストップでサービスを提供する事業を行っております。クラウドファンディングを行なっている企業となりますので、事業計画作成のお手伝いや資金調達などでご支援させていただきたいと思います。

尾山: 以上でトークセッションを終了いたします。

閉式挨拶

公益財団法人阿蘇地域振興デザインセンター 事務局長 永友 義孝

先日のオリエンテーションに続き、今日の開講式をもちまして、あそ未来創造塾が本格的にスタートしました。

塾生の皆様の自己紹介では、身の引き締まる表情で力強いお話をいただきました。

私たち運営側としては、皆さんの思いを繋げて、さまざまな化学反応を起こさせたいと思っています。今まで修了した62人の方のフォローアップを含めて、しっかり体制を整えていきたいと思います。

入塾した塾生の皆様には、講義を通じた気づきや人脈作りを経て自分のビジネスプランをブラッシュアップさせ、塾を修了していただきたいと思います。

これから来年3月までの長きにわたりお世話になる講師の皆様、金融機関等関係者の皆様に深く感謝を申し上げて閉式の挨拶とさせていただきます。

協力機関・協力団体

  • 株式会社日本政策金融公庫 熊本支店
  • 熊本県信用保証協会
  • 肥後銀行 宮地支店

後援団体

  • 九州財務局