2016年に和歌山県田辺市にて「たなべ未来創造塾」を立ち上げから7年間担当し、その後熊本大学へ3年間出向、2026年4月に田辺市に戻ってきました。出向中は各塾へ足を運んでおり、熊本にはとても愛着があります。
本日は、最終プレゼンに対する不安を解消するため、修了生のプレゼン事例や塾で大切にしている考え方をご紹介します。
1.未来創造塾で大切にしている「対話」
対話をすることで、新たな価値を生み出すことにつながります。 ※ 対話 = 討論(相手と話で勝負すること)ではありません。 以下の点を意識してください。
●耳を澄ませて聴く
●否定も断定もしない
●答えは一つと思わない
●アイデアとつなげる
●心の変容を自分自身に許す
2.地域課題と人口減少のメカニズム
人口増加時代はモノの生産や開発が活発でしたが、2008年をピークに日本は人口減少へ向かっており、全国の約4割が「消滅可能性自治体」と言われています。
人口減少の要因:
自然減: 出生率の低下
社会減: 都市部への流出(特に進学で都市へ出た後、地域に戻らないことが大きな要因)
悪循環の発生: 空き家の増加、学校の統廃合、行政・民間サービスの低下が生じ、さらなる人口減少を招く。
3.CSV(共通価値の創造)という考え方
人口減少をネガティブに捉えるのではなく、ビジネスチャンスとして捉える企業が増えています。
人口増加時代(CSR): 企業は利益追求を目標とし、地域課題はボランティア等で解決する。
人口減少の現代(CSV:Creating Shared Value): 「地域課題の解決」と「自社の利益」を共に追求する。
最終プレゼンに向けて、以下の3点を意識することが重要です。
企業課題: 自社の課題とは何か?
地域課題: 自社が解決できる地域課題とは何か?
事業化: 企業課題と地域課題の両方を解決する事業とは何か?
4.たなべ未来創造塾の事例紹介
事例①:株式会社日向屋 岡本和宜 氏(1期生)
地域課題: 鳥獣害、農家の担い手不足
取り組み: 地域の仲間と鳥獣害駆除を行う中、捕獲した命を無駄にしないため食肉加工所をオープン。猟師との連携、販路開拓、ジビエ料理の普及活動を行い、黒字化を達成。現在は狩猟体験や耕作放棄地を活用した農業、6次産業化まで展開。令和4年度農林水産大臣賞を受賞。
事例②:太田商店 太田有哉 氏(3期生)
地域課題: 中心市街地の空洞化、事業承継
取り組み: 老舗うなぎ屋として「うなぎ離れ」に直面。田辺市特産の規格外の梅を使い、「梅とうなぎの食べ合わせの悪さ」に科学的根拠がないことに着目して商品開発を実施。「禁断の食べ合わせ」として話題を呼び、メディア露出や売上増を達成。さらに廃棄されるウナギの骨を梅の肥料にする循環型ビジネスや、他塾生とのコラボ商品開発へ発展。
事例①②の共通点
既存のものと既存のものを組み合わせると新しいものが完成したりするということが重要です。
そして、地域資源を循環させていくことで、新たな価値を生み出し、共感を生み出すことができるということがポイントです。
事例③:the CUE 土井隆司 氏(5期生)
地域課題: ママや子どもの居場所がない
取り組み: Uターン後にイタリアンレストランをオープンするも、コロナ禍に見舞われる。「他店にない新しい価値」を模索し、少子化・子育て層の悩みに着目。曽祖母の空き家(公園の前)を改装し、キッズスペースと公園を繋げたイタリアンレストラン「andiamo!」を開業。予約の取れない人気店となる。
事例④:株式会社onlyone benefit 小山葵 氏(5期生)
地域課題: 20〜40代人口の減少、子育て世代の働く場所不足
取り組み: 塾生に声をかけ、子育てママ向けのマルシェを開催(キッズ・マネー・スクール等)。参加者とのコミュニケーションから悩みを汲み取り、託児所事業を始めるなどビジネスを拡大。
事例③④の共通点
子育て環境には「自助・公助・共助」がありますが、事例はいずれも「共助」に着目した結果です。地域課題への取り組みは、売上に直結せずともイメージUPとなり、最終的に持続可能な企業経営につながります。売上だけを目指さないビジネスプランを考えてみてください。
まとめ
●自分が本業で解決できる地域課題を見つける
●大きく作らず、小さなプロジェクトから始める
上記が大事なポイントになります。