4日目:「対話と創造の地域づくり 〜津屋崎ブランチの取り組みを通じて〜」

4日目:講義「対話と創造の地域づくり 〜津屋崎ブランチの取り組みを通じて〜」(9月9日開催)

講義:「対話と創造の地域づくり 〜津屋崎ブランチの取り組みを通じて〜」

講師:津屋崎ブランチLLP 代表 山口 覚 氏

事業やビジネスを行う際に限らず、何をするにしても話し合いをすることはとても大切です。自分一人で考えて一人で実行することは非常に難しいものです。また、ビジネスを行うと必ずお客さんがいます。そこには、お客さんとのコミュニケーションが存在し、そのお客さんの意見や話からビジネスが成長することも多くあります。

人は自分に対して批判的な人や苦手な人とはどうしても距離を置きたくなるものです。しかし、距離を置いた人の話の中にこそ自分に足りないもののヒントや新たな気づきがある場合もあります。そのため、苦手な人だからといって避けて通るのではなく、話を聞くことも大事なのです。

また、本やインターネットだけの情報ではなく、日常の会話や出張・旅先でその地域の人から話を聞く中にも様々なヒントや新たな発見が隠れています

自動車メーカーの事例紹介

当初日本の自動車メーカーが追及していたのは自動車本来のパワー性能(馬力、最高速度、加速性能)でした。しかし、あるときから環境性能(燃費、経済性)がコンセプトに掲げられるようになり、評価の軸が大きく移り変わりました。

一方で、A社はこれまで通り技術者の発言力が強く、販売の現場の声を聞かずに従来の性能主義にこだわり続けていました。そのため、年々売上が減少していくという結果になってしまいました。

その業績を回復させようと、新社長を迎え入れ、「話し合いの改革」が行われ、実際に車を販売している営業担当者や日常的に車に乗っている人の声に耳を傾けるように変化していきました。

改革後に女性のみのチームから生まれた車は、今ではあたり前の装備であるキーレスエントリーをはじめ、多彩なカラーバリエーション、車内の収納やサンバイザー裏の鏡など女性ならではの発想が盛り込まれ、たちまち人気車となって売上や株価も上昇しました。

このように「技術者のみが開発した車」と「いつも乗っている人が考えた車」とで、大きな違いがあらわれたケースと言えます。

それでは、グループで今の自動車の事例について話し合ってみてください。

その際に次のことに注意しながらお話ししてください。

・人それぞれ考え方が違うことを理解して話を聞くこと
・自分の意見と異なる意見があってもそのまま聞き続けること
・話しが苦手な人、自分の意見を言えない人にもお話しできる環境をつくること
・話が苦手で、話がまとまらなくても自分の意見として話をすること
・まわりの人が話をフォローしてあげること

常識を疑う「発明家的発想」を持つ

● 本当にそうか?自分の考えを疑う
● 他に考えがあるんじゃないか?と考える
● どうすればできるのか?を考える
● 言葉の裏側にある「潜在的欲求」に気づく
● 課題解決のみならず、未来創造を。
● 好きなこと × 社会にいいこと を見つけ出す

自分が思い込んでいることが本当なのか?例えば、「サンタクロースは赤い服を着ている」というのはコカコーラのキャンペーンでイメージカラーの赤い服を着ていただけで、実はサンタクロースはいろんな色があるんです。

また、昔は「運動中、水を飲んではいけない」と言われてきていましたが、今では逆で、熱中症にならないよう「水分をきちんと補給するように」と言われています。

あたり前だと思っていることや、昔はこう言われていたものなどについて、再度「本当なのか?」「今は(昔は)そう言われているけど・・」「他にもっと良い方法があるのでは?」と問いただすことが重要です。

対話と討論の違い

カリスマ的な発言力のある人の言うことを信じて、はじめは多くの人が協力します。しかし、発言力のある人があらゆることに対して指図をするようになってしまい、結果として協力していた人がいなくなってしまうケースを見受けます。

年齢が上だったり、立場が上だったりする人に見受けられがちですが、これは「対話ができていない」と言うことではないかと思います。

では、「対話」とはどう言うことかと言うと、知識がなくても、自信がなくても、年齢や立場、地位なども関係なく広く多くの人の意見を取り入れていくことで、いろいろな考えや意見を融合し新しいアイディアへ繋げてゆくことではないでしょうか。

討論:敵と味方に分かれどちらが正しいかを戦う

対話:みんなで本質を探求する

都会では人口が多いこともあり、自分の気の合う人とだけ付き合っていくこともできますが、人口の少ない田舎では、好き嫌いで人を選んで付き合うことは難しいことでもありますので、より対話が大事なのではないかと思います。

津屋崎で起きていること

福岡県の津屋崎では、施設が撤退して住民が肩を落としている状況に対し、「まちの永続」を目的に「津屋崎ブランチ」を立ち上げ、「集いの場」「暮らしの旅」「起業支援」「文化継承の器づくり」などの取組みを行っています。

例えば、農家や商店の人と移住者が「食べる」ということをテーマに集まる機会をつくり、対話と交流によって新しい発想を共有したり、地域の人と医療関係者が対話する「まち医者の学校」を開催したり、趣味を生業にするための「プチ起業塾」などを実践しています。

最後に対話を行うためのポイントをご紹介します。

● 私たちと思う
● 耳を澄ませて聴く
● 否定も断定もしない
● 答えは一つと思わない
● 沈黙を歓迎する
● アイディアをつなげる
● 心の変容を自分に許す

今後、皆さんが話し合いをする機会があった際に参考にしていただきたいと思います。

オブザーバーの方から

協力機関・協力団体

  • 株式会社日本政策金融公庫 熊本支店
  • 熊本県信用保証協会
  • 肥後銀行 宮地支店

後援団体

  • 九州財務局