1日目:オリエンテーション

1日目:オリエンテーション(7月16日開催)

ご挨拶

熊本大学 副学長/共創学環長 金岡省吾 教授

現在、熊本大学で地域連携を主体にさまざまな取り組みを行っています。20年以上前から地域活性化に携わってきましたが、考え抜いた戦略を作ってもなかなか思うような結果が出ないことが多くありました。

その後、「地域の課題を自分たちで考え、動く仕組みを作ることが大事だ」と感じ、富山で地域再生塾をスタートしたところ結果が出始めました。その後、和歌山県田辺市にて同様の塾を始め、ここで「未来創造塾」という名が誕生しました。現在、未来創造塾は全国12の地域に広がっています。

日本各地で進む人口減少に対処するため、「これから地域をどう創り、どう維持するのか」という課題があります。

いま、未来創造塾が注目されている理由は、「自分たちの住む地域を知り、地域の課題を考え、自社の課題と結びつけて実践することで、地域に変化が生まれている」点にあります。

来年3月まで地域について学んでいただき、最終的にはビジネスプランを発表していただきます。発表後に皆さんが活動を始めることで、地域が変わり始めます。 大事なことは「スモールスタート」です。小さくても活動していくことが重要です。半年間頑張ってください。

講義:地方創生概論・事例紹介

熊本大学 研究開発戦略本部 地域連携部門 鍋屋安則 客員教授

2016年に和歌山県田辺市にて「たなべ未来創造塾」を立ち上げから7年間担当し、その後熊本大学へ3年間出向、2026年4月に田辺市に戻ってきました。出向中は各塾へ足を運んでおり、熊本にはとても愛着があります。

本日は、最終プレゼンに対する不安を解消するため、修了生のプレゼン事例や塾で大切にしている考え方をご紹介します。

1.未来創造塾で大切にしている「対話」

対話をすることで、新たな価値を生み出すことにつながります。 ※ 対話 = 討論(相手と話で勝負すること)ではありません。 以下の点を意識してください。

●耳を澄ませて聴く
●否定も断定もしない
●答えは一つと思わない
●アイデアとつなげる
●心の変容を自分自身に許す

2.地域課題と人口減少のメカニズム

人口増加時代はモノの生産や開発が活発でしたが、2008年をピークに日本は人口減少へ向かっており、全国の約4割が「消滅可能性自治体」と言われています。

人口減少の要因:
自然減: 出生率の低下
社会減: 都市部への流出(特に進学で都市へ出た後、地域に戻らないことが大きな要因)
悪循環の発生: 空き家の増加、学校の統廃合、行政・民間サービスの低下が生じ、さらなる人口減少を招く。

3.CSV(共通価値の創造)という考え方

人口減少をネガティブに捉えるのではなく、ビジネスチャンスとして捉える企業が増えています。

人口増加時代(CSR): 企業は利益追求を目標とし、地域課題はボランティア等で解決する。
人口減少の現代(CSV:Creating Shared Value): 「地域課題の解決」と「自社の利益」を共に追求する。

最終プレゼンに向けて、以下の3点を意識することが重要です。

企業課題: 自社の課題とは何か?
地域課題: 自社が解決できる地域課題とは何か?
事業化: 企業課題と地域課題の両方を解決する事業とは何か?

4.たなべ未来創造塾の事例紹介

事例①:株式会社日向屋 岡本和宜 氏(1期生)

地域課題: 鳥獣害、農家の担い手不足
取り組み: 地域の仲間と鳥獣害駆除を行う中、捕獲した命を無駄にしないため食肉加工所をオープン。猟師との連携、販路開拓、ジビエ料理の普及活動を行い、黒字化を達成。現在は狩猟体験や耕作放棄地を活用した農業、6次産業化まで展開。令和4年度農林水産大臣賞を受賞。

事例②:太田商店 太田有哉 氏(3期生)

地域課題: 中心市街地の空洞化、事業承継
取り組み: 老舗うなぎ屋として「うなぎ離れ」に直面。田辺市特産の規格外の梅を使い、「梅とうなぎの食べ合わせの悪さ」に科学的根拠がないことに着目して商品開発を実施。「禁断の食べ合わせ」として話題を呼び、メディア露出や売上増を達成。さらに廃棄されるウナギの骨を梅の肥料にする循環型ビジネスや、他塾生とのコラボ商品開発へ発展。

事例①②の共通点

既存のものと既存のものを組み合わせると新しいものが完成したりするということが重要です。

そして、地域資源を循環させていくことで、新たな価値を生み出し、共感を生み出すことができるということがポイントです。

事例③:the CUE 土井隆司 氏(5期生)

地域課題: ママや子どもの居場所がない
取り組み: Uターン後にイタリアンレストランをオープンするも、コロナ禍に見舞われる。「他店にない新しい価値」を模索し、少子化・子育て層の悩みに着目。曽祖母の空き家(公園の前)を改装し、キッズスペースと公園を繋げたイタリアンレストラン「andiamo!」を開業。予約の取れない人気店となる。

事例④:株式会社onlyone benefit 小山葵 氏(5期生)

地域課題: 20〜40代人口の減少、子育て世代の働く場所不足
取り組み: 塾生に声をかけ、子育てママ向けのマルシェを開催(キッズ・マネー・スクール等)。参加者とのコミュニケーションから悩みを汲み取り、託児所事業を始めるなどビジネスを拡大。

事例③④の共通点

子育て環境には「自助・公助・共助」がありますが、事例はいずれも「共助」に着目した結果です。地域課題への取り組みは、売上に直結せずともイメージUPとなり、最終的に持続可能な企業経営につながります。売上だけを目指さないビジネスプランを考えてみてください。

まとめ

●自分が本業で解決できる地域課題を見つける
●大きく作らず、小さなプロジェクトから始める

上記が大事なポイントになります。

グループワーク発表(要約)

発表A: 身近な困りごとに対し、一人で悩むのではなく塾生のつながりを活かすことが重要。

発表B: 地域を知り課題を見出すこと、人とのつながりやコラボが大切。

発表C: 身近なところに課題があると実感した。解決にはコラボレーションが不可欠。

発表D: 修了生との繋がりを持つことで、若い人からの見方も変わると良い。

発表E: グループ内での自己紹介を通じ、今後の繋がりを活かしていきたい。

発表F: コミュニティの範囲が狭い、自分のビジョンをうまく伝えきれないなどの課題が出た。

事務局・協力関係機関挨拶

(公財)阿蘇地域振興デザインセンター 永友事務局長

株式会社肥後銀行 宮地支店 横山 様

来年3月の発表はゴールではなく、実際にアクションを起こすことが目的です。皆様だけでは解決できないことも、阿蘇の地域課題解決に向けて私たちがサポートいたします。

株式会社肥後銀行 宮地支店 横山 様

信用保証協会は、中小企業の資金調達や銀行融資をスムーズにするための支援機関です。今後プランを考えていく中で、伴走支援を行ってまいります。

塾生自己紹介(敬称略)

澤(小国町)
源(南阿蘇村)
成島(阿蘇市)
大崎(阿蘇市)
森口(南小国町)
井本(高森町)
佐藤(小国町)
田代(小国町)
加藤(産山村)
町田(南阿蘇村)
甲斐(南阿蘇村)
原田(阿蘇市)

オリエンテーション・講義内容の説明

(公財)阿蘇地域振興デザインセンター 園田事務局員

1.阿蘇地域の現状と課題

阿蘇郡市全体の人口は減少傾向(熊本県内では大津町、菊陽町、合志市、熊本市中心部のみ増加予測)。
高校・大学進学や就職による「社会減」が大きな要因。
人口減少により市場が成り立たなくなると、生活サービスの利便性が低下し、さらなる人口流出を招く悪循環に陥る。
20年後の地域(空き家・耕作放棄地の増加、商店街の衰退など)を想像することが第一歩。

2.あそ未来創造塾が目指すもの

ビジョン:「ずーっと住み続けられる阿蘇づくり」 少しでも人口減少をやわらげ、地域の方や次世代の子どもたちが地域で生きることに希望を持てるよう活動しています。熊本大学や金融機関の協力のもと、地域に根ざしたビジネスモデルを創出し、阿蘇で活躍する「かっこいい大人」となるプレイヤーをサポートします。

3.今後の講義で意識すること(CSVの考え方)

企業と地域がWin-Winとなる関係性を構築するため、以下の3点を意識して臨んでください。

・何をすれば自社が生き残れるか?
・自社の強み・特技は何か?
・自社のある地域を知る(立地、自然環境など) 

4.今後のスケジュール

8月〜12月: 開講式・講義(8回)・ビジネスプランのヒアリング
1月〜2月: 演習(3回)
3月: 最終プレゼンテーション(修了式)

「あなたの夢に向けて、新たな一歩を踏み出そう!地域に生きる『かっこいい大人』に!」

その後、次回開講式に関する事務連絡が行われ、オリエンテーション終了後にはコーヒータイムも設けられ、塾生同士の交流が深められました。

協力機関・協力団体

  • 株式会社日本政策金融公庫 熊本支店
  • 熊本県信用保証協会
  • 肥後銀行 宮地支店

後援団体

  • 九州財務局