4日目:講義「対話と創造のまちづくり」~津屋崎ブランチの取組を通じて~

4日目:「対話と創造のまちづくり」~津屋崎ブランチの取組を通じて~(9月11日開催)

講義:対話と創造のまちづくり

津屋崎ブランチ/LOCAL&DESIGN株式会社 代表取締役 山口 覚 氏

1.「話せる」と「対話ができる」は別物

私たちは義務教育で「話し合いの重要性」を体系的に学んでいません。そのため、母国語として「なんとなく喋れる」ことを「正しく対話ができている」と錯覚しがちです。この無意識の状態を、意識的なものへと変える必要があります。

2.言葉への意識が「世界の見え方」を変える

「なぜその言葉を使うのか」「言葉に何を込めるのか」を意識し、自分と相手の発言が及ぼす影響を理解することで、社会や地域、そして他者の考え方が、今までとは全く違った景色として見えてくるようになります。

3.実践重視のスタイル(発言比率4割)

一方的な講義ではなく、参加者が自ら話し、他者の話を聞く時間を全体の約4割設けます。「対話の技術」を知識として知るだけでなく、その場で実践することで学びを深めていきます。

本講話では、対話を通じて創造性とコミュニティを生み出す重要性が語られています。冒頭では、参加者同士がリラックスして話せる雰囲気づくりとして、最近の出来事を共有するアイスブレイクの有効性が紹介されました。続いて、ビル・ゲイツの言葉を引用し、組織には「創造力」「コミュニティ」「マネジメント」の3要素が必要であり、特にコミュニティの重要性が強調される。さらに、ソニーの事例として盛田昭夫のエピソードを挙げ、常識を疑う視点が革新を生むことが示されました。

また、人間は本来弱い存在であり、協力するために言葉を発展させてきたが、その一方で言葉は対立や分断も生みうると指摘する。現代の会議では、本音が言えず一部の人だけが発言する「討論型」が多いが、これでは新しい価値は生まれにくい。立場や話し方に関係なく意見を出し合い、多様な考えを組み合わせる「対話」こそが、創造性を引き出す鍵であると結論づけています。

グループディスカッション

講義の続き

 対話と討論の違いについて説明し、日本では話し合いが討論に偏りがちであると指摘する。その具体例として日産自動車の改革を紹介。
1990年代後半、業績悪化の中で現場の声が無視され、顧客ニーズの変化に対応できなかった。一方、トヨタは環境性能という新たな価値に着目し差を広げた。そこでカルロス・ゴーンは話し合いのあり方を改革し、あえてエンジニアを外した女性チームで新車開発を実施。生活者視点のアイデアからキーレスエントリーなどが生まれ、日産マーチがヒットしV字回復を実現した。

多様な声に耳を傾ける対話の重要性を示す事例である。その鍵は現場で行動する人々の姿にある。

ワイワイと楽しく話す場を、初対面の人同士でも意図的に作ることで、新しい発見や面白い出来事が生まれると説く。その中で重要なのが「討論」と「対話」の違いである。

討論は自分の正しさを主張し、都合の良い情報だけを集めるため、視野が狭まり成長が止まる。
一方、対話は「本当のことを知りたい」という姿勢で他者の意見を受け入れ、融合させることで、新たな気づきや変化を生む。
 
対話には謙虚さが不可欠で、「自分は完全には知らない」という前提が人の話を引き出す。また、答えを一つに決めつけず、沈黙や迷いも受け入れることで創造的な発想が生まれる。さらに常識を疑い、多様な視点を持つことの重要性も示される。雑談から生まれた干し柿のエナジーバーの事例のように、人との対話は新たな価値創出につながる。
 
津屋崎では、「対話」と「常識を疑う」ことを軸に地域づくりが行われている。移住支援や文化継承、起業支援、人が出会い語る場づくりを通じて、偶然の出会いを生む「計画的偶発性」を重視している。
 
目的は単なる人口増加ではなく、「100年後も町が存続すること」であり、そのために必要な人の流れや関係性を生み出している。また、補助金に頼らず、町の価値に共感した人を呼び込む発想や、他地域との競争ではなく役割を考える姿勢も特徴である。
 
さらに、対話の場や体験型の活動、長期滞在型のゲストハウス、相席を促す飲食店などを通じて人と人との関係性を深めている。こうした取り組みは、競争・所有・依存から、協力・共有・自立へと価値観を転換し、地域に新たな価値と持続性を生み出す実践である。

グループディスカッション

協力機関・協力団体

  • 株式会社日本政策金融公庫 熊本支店
  • 熊本県信用保証協会
  • 肥後銀行 宮地支店

後援団体

  • 九州財務局
  • 熊本県八代市・天草市・玉名市・菊池市
  • 和歌山県田辺市
  • 富山県南砺市
  • 株式会社熊本銀行 阿蘇支店
  • 熊本県信用組合 高森支店
  • 阿蘇市商工会
  • JA阿蘇